腸①腸内細菌叢の働き

 

私たちは多くの微生物たちと共に生きています。細菌は体の外側の皮膚も内側の消化管、呼吸器官、膣などの表面に住んでいます。

 

その数全てを合わせると100兆個以上と言われ、重さのすると1〜2Kgにもなります。

 

 

 

細菌の90%は大腸に存在し、細菌叢を作って生息しています。その細菌叢の状態が、私たちの心身の健康に大きく影響しています。

 

腸内の細菌は大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けることができます。

 

その比率は善玉菌が20%、悪玉菌が10%、残り70%は日和見菌となりますが、善玉菌が優勢か、もしくは悪玉菌が優勢かで、日和見菌がどちらか側になびいた状態になります。

  

腸内細菌叢が善玉菌が優勢であれば、心身ともに健康であると言えます。それほど、腸の状態は私たちの状態と直結しています。

 

 

善玉菌

 

善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などは、主に糖類を分解し発酵をします。

 

そして、ビタミンB群をはじめ、ビタミンKなど有益な栄養素を作り出してくれます。その数は300にものぼるといわれています。

 

体のエネルギーを生み出すのは私たちの37兆個あると言われるそれぞれの細胞の中のミトコンドリアです。

 

そのミトコンドリアがエネルギーを作り出すときに、ビタミンB群がないと上手く作り出すことができません。腸内細菌たちが、私たちの日々の活力を支えてくれているのです。

 

腸内細菌の状態が良ければ、大腸の前にある小腸で行われる食べたものの栄養の消化吸収も良くなります。

 

また、食べたものに混じって入ってきた病原菌やウイルスを体内に侵入させないバリアー機能を高め、感染リスクを減らします。

 

腸には70%の免疫細胞が集まっていまっています。腸の状態の影響を強く受けるので、状態が良ければ免疫細胞も良い状態を保つことができます。

 

 

悪玉菌

 

悪玉菌は、ウェルシュ菌、有毒株の大腸菌などです。小腸で消化吸収できなかったタンパク質を腐敗させます。

 

そこで起こることは、腸内腐敗、細菌による毒素生産、発がん物質のガス発生です。

 

これらは、すべて臭い匂いを出すので、便が臭くなります。

皆さんのうんちの匂いはどうですか?

 

うんちは臭いがの当たり前だと思っているかもしれませんが、善玉菌が活発で豊かで、乳酸発酵をしていると臭くないんですよ!

 

 

日和見菌

 

さて、腸内細菌の70%にのぼる日和見菌ですが、量もバリエーションも多いほどよいと言われます。

主な菌はバクテロイデス、無毒株の大腸菌、連鎖球菌、カンジダ菌などです。

 

日和見菌は、悪玉菌が繁殖すると悪玉菌になびき、減るとおとなしくなります。

 

このカンジダ菌は、悪玉菌優勢になると、非常に悪い状態を引き起こし、厄介です。

(これについては次回でお伝えします)

 

 

 

悪玉菌が優勢になる原因

 

では、なぜ悪玉菌が優勢になってしまうのでしょうか。

理由は、大きく分けて3つ。

 

抗生物質

1回の治療でおよそ1/3の腸内細菌が悪影響を受け、悪性の菌が増殖すると言われています。

日本で生活をしていて、抗生物質を飲んだことがないなんて、ありますか?

 

食品添加物

乳化剤は、腸内細菌へ影響を与え、腸粘膜にも悪い影響を与えると言われています。

乳化剤は、プロセスチーズ、アイスクリーム、加工肉、プリンなどのデザート系に多く使われる、非常に一般的な食品添加物で、腸管炎症や内臓脂肪を増加させることも分かっています。

 

抗菌

小さい頃、腸内細菌叢が作られる時に、除菌しすぎた生活を送っていた場合、腸内細菌の多様性が育たちません。

泥遊びをしない、床に落ちたものを食べない、薬用石鹸を使う、乳首を消毒しておっぱいをあげる、そんな環境であった場合は、細菌の種類が少ない可能性が高くなります。

コロナ禍において、大人もこどもも普段の生活が、ますます抗菌過剰になっていないでしょうか。

私たちは、さまざまな菌と共に生きているからこそ、体が健やかでいられるという事実があります。

コロナウィルスに対して免疫力を持てるのも腸内細菌叢の状態に関係しています。

 

 

私たちの腸内細菌叢問題

腸内細菌叢の問題は、日本に住む現代人が、みな抱えていることになります。