エネルギーを与えてくれる栄養はなんでしょうか。
私たちにとって最も重要な栄養素は、三大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物です。
この3つの栄養素が、体を作り、動くエネルギーを生みだし、命を支えてくれます。
車を動かすのに電気やガソリンが必要なように、私たちにもエネルギーの素となる栄養が必要です。
エネルギーを作り出す主な栄養素は炭水化物です。
炭水化物は糖質とも呼ばれます。
炭水化物を分解すると糖と食物繊維になります。
糖は私たちのエネルギーを生みだす栄養となり、食物繊維は腸内細菌の餌になります。
糖質制限という言葉も一般的になり、主食を食べない人も増えています。
もともと糖質制限食というのは、治療食として古くからあるものでした。
短期で行う場合はさまざまな効果を発揮します。
しかし糖質を厳しく制限したり、長期間糖質を抜いた生活をしていると不調を起こします。
私もケトジェニックダイエットを学んだ時は、糖質過多による起こる心身への悪影響から、主食を減らしたり食べない食生活を行なっていました。
しかし、栄養学を深く学んでいくと分かってくるのは、ヒトの栄養の働きと、個人の栄養状態の両方を考えなければならないと言うことです。
糖質制限食は、治療食ですから向き不向きがあります。
消化機能が弱く、筋肉が少なく、ぼーっとするとか、エネルギー不足を感じるような方には、おすすめできません。
糖質制限を始めた頃は調子が良くなっても、長く続けているとだんだんと不調になってくるケースもあります。
蕎麦粉のガレットサンド
蕎麦粉は栄養価も高く良質な炭水化物
糖質は私たちのエネルギーの素になるものですから、適量必要です。
現代食の問題の一つは、精製された糖類が多すぎることです。
デンプンから精製された砂糖が生まれる前までの糖質といえば、お米、芋類、豆、果物など食物の中に含まれているものでした。
今や精製された糖類がどれだけ私たちの食生活に入り込んでいることでしょう。
脳は糖が大好きですから、好まれる味にするために多くの糖が使われます。
糖類の入ったお菓子、甘いパン、ドリンク類は大量にあることはご存知のことだと思います。
お煎餅、惣菜といった塩気のある食品にも糖が使われていることは多いです。
知らず知らずの間に私たちは糖質を多くとる生活になっています。
お米も体の中で糖に変化します。
一般的に、玄米よりも白米の方が柔らかく食べやすく甘味があり好まれますが、白米も精製された食べ物です。
白米をたくさんとれば、砂糖をとっているのと変わりません。
どのような糖でも多く取りすぎた糖質は脂肪に変わり、増えすぎた内臓脂肪はさまざまな体調不調を引き起こします。
糖質制限食は、このような糖質をとりすぎる時代に、脂肪を落とす、健康維持できると一般的に広がりました。
しかし、糖質は大切なエネルギーを作り出す栄養でもありますから制限のしすぎはダメなのです。
糖質を正しく選びコントロールすることが大切です。
三分つきのササニシキと押し麦、黒米、あわご飯
食事をすると、吸収された糖が血管を流れ血糖値が上がります。
(糖が血管の中をどのくらいあるかを表すのが血糖値です)
すると、インスリンというホルモンが出て、それぞれの細胞の中に糖が入っていき、細胞の中のミトコンドリアに届くとミトコンドリアがエネルギーを生み出してくれます。
私たちは常にエネルギーが必要です。
活動的な時はより多く必要ですが、静かに本を読んでいる時、寝ている時にもエネルギーなしには生きていくことができません。
血糖が安定していることはエネルギーを安定して作り出せるということです。
糖を急激に摂ると血糖値は高くなりすぎ、血糖値が高い間は体を酸化や糖化という悪い影響を与えます。
上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンが大量に出ると、今度は血糖値が下がりすぎて低血糖症状をおこします。
低血糖症状とは、手足の冷え、手汗、頭痛、立ちくらみ、眠さ、だるさ、集中力低下、考えがまとまらない、ぼっーとする、焦り感、不安感、イラつき、他人や自分を責めがちなど、ひどくなると気絶、意識がなくなります。
エネルギー不足で、体全体、脳の働き、精神面も落ちてきます。
そのまま低血糖がひどくなることは命の危機を意味するので、体はどうにかエネルギーを作り出しますが負担もかかります。
体はさまざまなホルモンが働き血糖値が一定の間を維持できるようになっていますが、現代の過剰な糖の食事を続けていると、体に負担がかかり正しく血糖値を維持することが難しくなってきます。
食事をして急激に血糖値が高くなり、高くなった反動で血糖値が下がりすぎ、また糖分が高いものに手が伸びたり過食になれば血糖値が乱高下します。
血糖値の乱高下は体のエネルギー状態を不安てにさせます。
血糖値を安定させるような食べ方をしていれば、体も心も落ち着いた状態でいられます。
冷めたジャガイモも糖質と腸内細菌の餌になるレジスタントスターチがありおやつにぴったり
それでは、好ましい糖質は何かと言うと炭水化物です。
お米、雑穀、芋類は、血糖維持や栄養的にも良い食材です。
体のエネルギー切れを感じる時がある、脳の働きが悪くなった、精神面に波がある、朝起きても疲れが取れていない、そんな方は特に意識して炭水化物をとりましょう。
食べ方は、1日3食+夕方の捕食です。
毎食3回ご飯を食べます。そして、捕食はお菓子ではなく、おにぎり・さつまいも・甘栗・茹でじゃがいもなどの炭水化物が良いです。
夕方の捕食というのは、人のホルモンの働きで夕方4時ぐらいはエネルギー切れを起こしやすいのです。
ですからそのぐらいの時間に、お腹が空いてなくてもエネルギー切れを起こす前に捕食をとりましょう。
ご飯の量は、食事毎に自分の握り拳ぐらいのサイズを目安に。
ご飯は白米よりも、玄米の糠の部分を残した分つき米がよりよいです。
麦やヒエ、アワなど雑穀を一緒にして炊くと、ミトコンドリアがエネルギーを生み出すときに必要なビタミンB群や食物繊維もとれます。
それぞれの人は活動量も人によって様々ですから、必要量は人によって、また日によって違います。
ご飯を食べていなかった人は、ご飯を食べるようにし、過食気味の人は、ご飯の量を減らしていきましょう。
もちろん、体を作るタンパク質、良質な油、野菜などもいろいろな食材を食べることが大切です。